思春期の霊感
今回は私が初めて霊を見たお話。
私には2人の姉がいるが、次女にあたる3才上の姉は高校生の時、部活動の大会で行く先のホテルなどでよく心霊体験をしていた。
前回の記事で出た叔父の子供達(私の従兄弟にあたる)もその頃には『家に知らないおばぁちゃんが居る』と言っていた。知らないおばぁちゃんが部屋のベッドに腰掛けていてなかなか寝れない、朝起きると既に居る、 など話していた。
なので、幽霊は居る。それが常識で普通と思い始めた頃…
たしか中学一年生の夏だったと思うが、
思春期真っ只中の私は何か悩みを抱え夜更かしをしていた。
今考えたら恐ろしいが、午前2時ぐらいにキャンドルを窓際でたき、外を眺めていた。完全なる自殺行為だか…。
ふっと急に、窓際に座る私の後ろ側に、誰か居る!と感じた。それと同時に振り向いた。
そこには髪がながく真っ白な服を着てずぶ濡れに濡れている女の子が体育座りをして座っていた。
あまりにも驚いた私は 『それ』を隣の部屋で寝ている長女だと思い、なんだお姉ちゃんかぁ〜ともう一度振り返った時には誰も居なかった。
その時初めて 計り知れない恐怖が湧いてきた。だってよく考えたら長女はショートカットだし。どう見ても長女じゃなかったし。
キャンドルを消して、急いで布団に入り頭まで掛け布団をかけ、震えながら目をつぶっていたら気づいたら朝になっていた。
起きて急いで両親にその事を報告したが、 そんな時間にキャンドルをたいたら自業自得よ。と言われた。
あなたもとうとうデビューしたのね。と一言。
それ以降、金縛りは日常茶飯事になったがあれ程鮮明に霊を見る事はなかった。
高校生受験で合格がわかった晩は 金縛りにあい、『おめでとう』と声が聞こえ、祖父がお祝いに出てきてくれたと直感でわかった。
思春期の多感な時期に霊感が強まる人は多いそうだ。
初めての不思議体験
私が六歳の春に父方の祖父が亡くなった。
父は5人兄弟の末っ子だが家を継ぎ、私もその家で育った。
山と山の間の谷の様な田舎に住み、家も無駄に大きい昔ながらの平屋だ。
今と違い、昔は自宅で葬儀を行った。
もちろん、祖父の葬儀もそうであった。
面白い風習もあり、葬儀は必ずご近所さんが手伝いにくる。
男性陣は通夜も葬儀もずっと故人を偲び宴をする。
女性陣は台所に立ちその宴の用意をする。そして何故か醤油の一升瓶を各家が持ち寄る。
父の兄弟も集まり、夜も更け、皆いい気分で寝ずの番が始まりそうな頃、
長男にあたる叔父が仏壇の前に座りなんだか一人で話し始めた。
祖父は仏壇のすぐそばのお座敷に寝かされているのだか、仏壇の前で永遠と独り言を言っている叔父に 親戚一同みな不思議がっていた。
『叔父、何をさっきから一人でブツブツ言っているんだ?』と聞くと
『何言ってる?親父がここに居るだろう。寂しいから一人にするなとうるさいんだよ』と叔父が言う。
叔父以外、誰ひとりとして祖父の姿を見る事はできなかったが、夜が明けるまで叔父は仏壇の前から離れなかった。
長男と親との深い絆があるのだろうか。
あの不思議でどこか温かい光景が今も忘れられない。